目も当てられない

こんにちは。 はなです。



真面目な顔でご挨拶。


真面目な顔と言うよりも、やや途方に暮れています。



なぜかって?


ええと・・・お話しするのも気が引けると言うか

私まで、ケージがあったら入りたいくらい。


ここでもいいか、とりあえず。



冗談はさて置き

事の起こりは半月以上前の深夜2時半。


カーポートの真上の部屋に寝ているemihana はゴトゴトと言う

下からのかなり大きな物音に目を覚ましました。

同時に車のアイドリングの音、続いて門扉の閉まる

カチっという音に、さすがに「?」

こんな真夜中に何だろう・・・と起きだして

寝ぼけ眼で出窓のカーテンの隙間から覗くと

そこには一台の軽トラックを改造したような白いワゴン車が。

そして車の中に座る赤いTシャツのおっさんの姿が見えたそうです。


「いったい、何してるんだろ?」

不審に感じながら、茫然としているうちに

車はさっさと走り去って行ったと言います。

「もしかして・・・」

下に降りて行き、窓を開けて見たところ、自転車もある

ほかに変わった様子もなかったので、そのまま寝室に戻ったのだとか。


さて、翌朝になって一応カーポートに出て確認したところ

動いている!

明らかに自転車が動いている!
(これは数日後、出張で帰ったお父さんが確認済みです)


するってぇと・・・どうやら白いトラックのおっさんは

外から自転車が止めてあるのを見て、しめしめ・・・盗ってやろうと考え

いそいそと入ってきたものの、実際、自転車は建物の一部に頑丈なチェーンで

ロックされていたので、しばらくごとごとやっていたが

あきらめて放棄。さっさと帰って行ったに違いない・・・

と言うemihana の推理でしたが、私もそれで間違いないと思いました。


ちなみに、自転車はお父さんが少しだけ乗って放っぽりぱなしにしていた

わりに新しいもので、安物ですが遠めに見れば今どきはやりの

スポーツタイプの自転車です。



そこでemihana は警察に電話することにしました。

何も盗られてはいなかったけれど、真夜中に入って来られたことは

さすがの鈍感おばさんも、ちょっとは気味が悪かったのでしょう。

今は一人暮らしですしね。


まぁ、パトロールでもしてもらえたら・・・くらいの気持ちで

警察署へ電話(110番ではないですよ)

事情をお話しすると、電話の向こうの警察官は

「もし今度、物音がしたら、その時すぐに110番してください。
そうじゃないと捕まえられませんから。あ、猫でした。
ごめんなさい、でも構いませんから」


ふうむ・・・

真夜中に110番。パトカーが来るわけ?

・・・ううん・・・でも、もう自転車も隠したし

ほかに盗られるものも置いてないし

たぶんもう来ないだろうし・・・

ね?



ところ〜が、やって来たのですよ、やつは!


1週間ほど経ったある晩の深夜2時過ぎ、emihana は再び同じような物音に

飛び起き、窓辺に走ったのでした。

そこで見たのは・・・あの白い車の横で何やらごそごそやっている男の姿。

どうやらたくさん工具が並んでいるみたいで・・・

もちろん、男はすぐに車に乗り込むと、あっという間に

走り去って行きました。


さぁ、emihana の慌てたこと。すぐさまスマホを握りしめ

人生初110番!(事故の通報以外で)

「どうしました?」

と応答してくれたのは、なんと女性だったそうで。

漠然と男性が出るものだと決めつけていたから

そこから余計にアワワワ〜となって

「早すぎてわかんない!」

電話の向こうからお叱りを受けると言うていたらく。


電話を切って10数分。慌てて着替え、眉毛を書き

待っていたところに、男性女性、一名ずつのお巡りさんが

それぞれ原付に乗ってやって来てくれまして

そこで、しどろもどろになりながら、何とか状況を説明したところ

「ナンバーがわからないと検挙は難しいと思う。センサーライトを付けると

有効です。とにかく盗られないようにすることです。パトロールはします」

と極めて冷静に告げ、帰って行きました。


しばし虚脱状態のemihana でしたが、少しずつ興奮が収まるにつれ

何だか、怖くなって来たと言います。

「前にもはなのカートを盗られたことがあったし、空き家の時には

空き巣にも入られたし・・・きっと入られやすい家なのね。

今は一人、もし中に入って来られたら・・・これはまずい」


翌日さっそくお得意のア○ゾンで、センサーライトをオーダーし

その晩から玄関の内側の電気を点けたままで就寝する用心ぶりでした。


話を聞いた周りの皆さんも「気を付けたほうがいい」と

とても心配してくださいました。


私も今まで平気で鍵をかけ忘れて寝たり、二階の窓も開けたまま出かけたり

いくら何でもちょっと・・・と思っていましたから

ようやく人並みに気を付けるようになってくれたと思っていました。


そしてもう二度と、泥棒が戻って来ないといいなって・・・



ところがところがところ〜が、この話はこのまま終わらないのです!

emihana は稀代のヘタレだと言うことを、忘れかけていました!


それからさらにまた一週間後・・・

またまたまたやって来た同じような状況!

ゴトゴト、アイドリング、門扉の音・・・


「ああ、また来た〜!」

飛び起きたemihana はナンバーを控えてやろうと

窓辺に用意しておいたペンを握りしめ、真下の白い車をガン見!


くそ〜・・・あいつ・・・どこまでしつこい・・・

必ずやお縄にしてやるわ、と、鬼平さんか銭形の親分ばりの

セリフを心の中で呟きつつ、眼下の状況を見下ろしているうちに

「ん?・・・あれ・・・?」


男はまた車の中を覗き込むように何かをごそごそと・・・

よ〜く目を凝らしてみると、そこには・・・

たくさんの牛乳瓶が!・・・工具なんかじゃな〜い!

走り去るワゴン車のボディには○○乳業の文字が!


ガ〜ン! ガ〜ン!ガ〜ン!


emihana は週に一度、グルコサミン入り飲料を配送してもらっているのを

瞬時に思い出しました。

牛乳屋さんなら、門扉を開けてドアの前に置いた箱のところまで

入って来ます。


・・・だけど・・・牛乳って2時から配るものなのかっ!


知らんかった・・・知らんかった・・・

まさに膝から崩れ落ちそうなほど衝撃を受けた様子のemihana でしたが


「な〜んだ、泥棒が来たのは初めの一回だけかぁ・・・

なら、よかった。あいつはきっともう、来ないもんね。

やれやれ、これで枕を高くして寝られる」

と、10分後には玄関の明かりをさっと消しベッドに飛び込んだのを見て


この性格、いいんだか悪いんだか・・・と大きくため息を吐いた

私でしたとさ。



大騒ぎするだけしておいて・・・


どうかと思いますよ。



だいたいあの時、無実の罪で牛乳屋さんが捕まりそうにでもなっていたら

どうやって謝るつもりだったのか!


あ〜、やっぱり穴を掘ってでも、入りたい!




ところで早々と購入したセンサーライトですが

なんと晴天時に48時間充電しないと点けられないことが判明。

あれ以来、いまだ2日間の晴天が訪れることのないまま

静かに部屋の隅に置かれた段ボールの中で眠っております。



お父さん、夏休みで帰ったら、ぜひ取り付けてやってください。