emihana 上海に立つ その6

こんにちは。 emihana です。



少し間が空いてしまいましたが、雨の蘇州観光の続きから・・・



何だかんだで、「寒山寺」に参りました。


拙政園よりはずっと人が少なく、すんなりと入園できました。

雨も小降りになって来て、ほっとしながら参道の砂利道を進んで行くと

鐘の音が響いて来ます。


「大晦日には108回鐘を突くんですよ」とY氏。

「日本でもそうです」

・・・にしても、やけに鐘の音が煩い。と言うか、間隔も空けず

響きっぱなし。大晦日か?



門をくぐって敷地内に。


雨の中、善男善女がお参り中。



なかなかいい雰囲気でしょ?



お堂の中では

ちびちゃんもお参りです。見よう見まねで可愛らしいこと。



かの地では、置いてある台の上にひざまずいてひれ伏すのが

正しいお参りの作法のようです。

ちゃんとそれらしいこと、していましたよ。



別のお堂には何が?



これはまたは何ともきらびやか。



ご本尊さま



そして、五百羅漢です。




本当に一つ一つ違っていました。

お酒に酔っぱらっている羅漢さんから、猫を抱いてる羅漢さん

欠伸している羅漢さんなど・・・

人間味(?)溢れるお姿はバラエティに富んでいて

とても生き生きとし、見ていて飽きませんでした。


「さ、行きましょう」

水も漏らさぬ完璧なスケジュールを完全に履行する使命感に

燃えているらしいY氏はどんどん案内したくてたまらないようです。




鐘楼に昇りました。



昇ってすぐに、なぜこうもゴンゴン鐘の音が続くのか

その理由が判明。


「一突き10元」

お金払えば、何回だって突かせてくれるのです。

「さ、記念にどうぞ」

にこりともしないお坊さんの突き出した手にお札を渡し

急かされるようにゴ〜ンと一発。



そして記念写真。




すぐに次の人が次の鐘をゴ〜ン。

そりゃ、鐘の音が途切れないわけです。


一つ不思議だったのは、鐘楼の中では少しも鐘の音が響かないと言うことで

おそらくそうなるように設計されているのだと思われますが

よくできていると感心しました。



寒山寺の鐘」



鐘楼からの景色




ところで前回も触れましたが、例の寒山寺の出てくる有名な漢詩


これ、全部、あの漢詩が書かれた書です。



一つとして、同じ書体のものは見られず、新旧織り交ぜ

多くの著名人や名僧たちが筆を取っています。




書き手の創作欲を刺激して止まない詩なのでしょうか。

「みんな字が上手いなぁ」

お父さんの小学生のような感想を聞いて、ため息を吐いたemihana でした。



寒山寺を出て車に乗り込むと、いつしかまた雨足が強くなって来ました。


「これから湖の近くに行って、散歩をしてから有名なレストランで

食事をします。夜は明かりがついてとてもきれいです」


(散歩?・・・散歩って言った?・・・ええ?・・・マジ?

 何か風も出て来たみたいだし・・・無理じゃね?)

emihana の心の声に答えるかのようにY氏は

「雨の中ですけど、雨の蘇州の景色も情緒があると言われていて・・・」

(・・・情緒と言うのには、いくら何でも雨足強すぎじゃね?)

今度の心の声にY氏が答えてくれることはなく、車は水しぶきを上げつつ

湖を目指して進んだのでした。



・・・そんなこんなで、有名なレストランに到着。




いったんは車を降りたものの、横殴りの雨に傘さえ満足に差せない始末。

数メートル歩いたところでY氏は

「・・・これは・・・無理ですね、散歩できませんね」

力なく呟くと、いったん帰した車を再び呼び戻しました。

そして予定より早くレストランに入って、食事を開始することに。


Y氏の胸中を察するに、さぞかし無念かと・・・


彼の名誉のために付け加えますが、非常に真面目な方なのです。

きちんとご自分の立てた完璧な予定通りに

emihana とお父さんを案内したくてならなかったのです。

何とか二人に上海と蘇州を心底楽しんでもらいたい!

そのお気持ちは痛いほど伝わりましたが、いかんせん・・・

天気だけはどうすることもできないのでした。


レストランの窓から見える湖が湖とは思えぬほど大きく波立ち

湖畔の柳が右に左に激しく弄ばれる様に目をやり

実のところ、ほっと胸をなでおろしていたとは、いくらずうずうしい

emihana と言えども、おくびにも出せません。



花に見立てた魚料理。
カラッと揚がったところにケチャップ味のソース。
不味くなりようのない味!



蘇州風炒飯。
とてもさっぱりとしていて、魚介が入っていました。



どこで食べてもハズレなし。エビ蒸し餃子。鉄板!



蘇州名物のお菓子。蒸しパンのようなものの中に甘いジャム。
これは・・・不味からず、旨からず。




「本当でしたら、ライトアップされた湖を見ながら

 ゆっくりとお食事だったんですけどね・・・」


一時間かけて雨の高速を上海に向けて戻る車中

かえすがえすも残念そうなY氏。


彼がそこまで蘇州にこだわるのには訳がありまして

蘇州は彼の生まれ故郷なのだそうです。

まさに私たちが雨の中、散策を断念せざるを得なかった

あの湖の近くで生まれ育ったのだとか。


「また、今度、ぜひ、案内させてください」

「そうですね。また今度、ぜひ」


Y氏の気持ちに報いようといろいろ話かけるemihana の横で

鼾をかいて舟をこぐお父さん。

(ったく・・・先に寝たなぁ・・・)



ようやく上海の灯りが見え始めた頃、目覚めたお父さんと

3人で最後に訪れたのは



按摩店(マッサージ)



ここで3人それぞれ個室でリンパ・マッサージを受けたのですが

これが大当たり!!


日本人慣れしたお姐さんがてきぱきと、けれど緩急硬軟自在に

すっかりくたびれ果てた手を足を背中を腰をほぐして行ってくれます。


緊張と冷えと足腰の疲労とでボロボロだった体が

90分間で、見事蘇生に成功!


今まで数えきれないほどマッサージを受けましたが

こんなに効いたのは初めてで、感激しました。


非常感謝! 小姐!!


「下次我来的時候、一定再堤名你!!」

(今度来た時にはきっとまたあなたを指名します)


晴れやかに宣言した私にお姐さんも高らかに答えました。

「私の番号は11番!」

(我的号是11号!)



個室から出るとお父さんも別の部屋から出て来て

「あ〜、最高だった」

そう言いました。

ここはお父さんのマンションからも近く、よく来るのだそうです。

「俺のご贔屓は23番」



「では、また明日!」

そこでY氏と別れ、足取り軽くマンションへと歩き出した

emihana とお父さんは・・・



ああ、またまた不審な黒雲が頭上に集まりつつあるとは

知る由もなく、すっかり元気を取り戻し

一路マンションへと帰って行くのでした。




まだ引っ張る〜? マジ?