鬼の目にも・・・

こんにちは。 はなです。



少しばかり涼しい今日この頃です



「え?・・・冗談じゃないわ、こっちはとっくに酷暑に見舞われて
ぐったりしてますけど」

と、ただでさえ暑い中、ご自分の頭からも湯気を出しかけた貴方

関東ももうじき梅雨明けらしいので、しのぎやすいのも今のうち

げんなりするような真夏の陽射しが日本列島を覆い尽くす日が

すぐそこまで迫っていますので、ご安心ください。



私は今、お父さんの出張にくっついて日本滞在中なのですが



一昨日の夜のちょっと驚いた出来事について内緒でお話ししちゃいますね。



お父さんと emihana はその時、少し前にテレビで放送された

短いドキュメント番組の録画を観ていました。


それは九州の方で、愛護センターにいる老犬ばかりを保護して

最後まで看取るホスピスを運営している女性に密着した番組で

ボランティアに支えられながらの奮闘ぶりや何頭かの老犬たちの抱えた事情と

ホスピスでの様子を淡々と追いかけていました。


「犬だけに優しい連合」(IYR)名誉理事長のお父さんは

番組冒頭から、すでにうるうる・・・そして、年を取ったから

病気になったから、と犬たちをセンターに持ち込んで来た飼い主さんたちに

たいそう御立腹なのもいつものこと。


一方、emihana は同じように感じてはいるのでしょうけど

別に泣いたりなんかしません。これもまたいつも通りで・・・


やっぱり面の皮が厚い分鈍いのか、生来の天邪鬼のせいなのか

私があちらに引っ越してから、涙を流したこと、あったのかな?

そう疑うくらいです。

信じられないですよね?


お父さんは何かと言えば「ああ、はなに会いたいな〜」とか

「はな、戻って来て〜」とか呟いているのに比べて

まったくもってクールと言うか、人情が足りないと言うか。


「はなのことは自分で見送ったから、後悔は山ほどあっても

納得してるのよ」

などと妙に落ち着き払って言いますが、人間としていかがなものか?

かねがねちょっと苦々しく思っていたのです。



まったくもう・・・



さて、画面の中には、主に柴系の老犬さんたちが

私の晩年がそうであったように、あるがままを受け入れて

それでも精いっぱい生きている姿が映っていました。


「あ〜、やっぱり老犬が一番かわいいね」

お父さんも emihana も老犬さんたちにすっかりくぎ付けでしたよ。

どんなに禿ちょろびんだろうが、三本足だろうが

ヨロヨロ〜だろうが、踏み踏み〜だろうが

老犬の持つ無垢な愛しさは今風に言ったら「神」なんですよ、ほんと。

ご存知ない方は、損していますよ〜。



それはさて置き、一頭の老犬さんが突然発作を起こしました。

そのわんこさんを抱いて支える女性。目の焦点が合わず

荒く息を吐きながら反り返るわんこさん・・・

その時です。

emihana が急に「ああっ、はなとおんなじ・・・」

そう口にして絶句したのです。

それからはなをずるずる啜ると、ティッシュを引き抜き

鼻をかみました。


お父さんも私もかなりびっくりして、そんなe mihana を見つめ

心の中で思いました。

「珍しいこともあるもんだ」


emihana が泣いたのはその一瞬だけのことでした。

でも、いったい何が emihana の涙の琴線に触れたのか・・・

それは私にもわかりません。



謎の涙にちょっとびっくり



「はなは私の側にはいないと思う。いつもお父さんといるみたい。
相思相愛だから、それでいいのよ」

よく言っていますし、実際その通りなのですが

emihana が私の旅立ちに付いて、日頃のヘタレからは想像できないほど

何か確かな思いを抱いているらしいことを不思議に感じて来た私。



「鬼の目にも涙」

鬼は鬼でも天邪鬼。大した鬼じゃないのは間違いないけど

思いがけなく目にした涙をそれはそれで

少しうれしいような少し面映ゆいような気持ちで眺めたことを

白状しちゃいます。



あれ・・・?

「鬼のかく乱」って言うのもありましたよね?

あれはどんな意味でしたっけ?


でも、あんまり鬼、鬼言ってて、煩いオバサンがまた

いちゃもん付けて来るといけないので、今日はこの辺で失礼します。





寝たフリ〜でやり過ごせ〜