emihana 上海に立つ その3

こんにちは。 emihana です。



2日目の前半、豫園観光と小籠包屋さんでの昼食を終えたところまでは

すでに読んでいただきましたが、この日の午後は念願だった変身写真撮影の

予定が入っていたのです。


そもそも、今回の上海滞在の正味3日間はYさんによって

朝から晩までびっちりと綿密なスケジュールが立てられており

お父さんと私はYさんの案内するまま、すべてを委ねて行動するだけでした。


ことの始まりは、お父さんが「どこか変身写真を撮れる場所を知りませんか?」

そうたずねたことで、emihana 上海滞在中の予定は

Yさんの手によってたちまち組み立てられて行ったのでした。



「変身写真」と言えば、広州の街中にある写真スタジオで経験済みでしたし

上海のことだから多少はグレードアップしているにせよ

まぁ、言っても中国のことでもあり、それなりにカジュアルなんだろうな

そう考えていたemihana は Yさんに案内された小ぎれいなマンションの

ドアを開けて顔を見せた一人の女性を見た瞬間

「ん?・・・ちょっと待ってよ・・・ここって・・・」

と、なんだか胸騒ぎを覚えました。



撮影終了後。右の女性がスタジオのオーナー・Lさん。



そこは3LDKほどのマンションで、自己紹介もほどほどに

Sさんとともにカーテンで仕切られた鏡貼りの一室に案内されました。



Lさんは、すごくフレンドりーなのですが、なんと言うのか

とにかくとても圧の強い人でして・・・

さらに、自他ともに認める早口emihana もタジタジとなるほどの

超早口の中国語で私と通訳係のSさんにどんどん話しかけて来るのです。

「吃饭了吗? ご飯は食べた?(ご機嫌いかが?)」

「吃了很多。肚子满满 食べました。おなかいっぱいです」

「真的吗〜?今后拍照片 ほんとに?今から写真を撮るのに」

言われて初めて、ああ、腹八分にしておけば・・・

と悔やんでみたものの、後の祭りです。


「送ってもらった写真では長い髪だったのに、短くなってるじゃない。

もう、困っちゃうわよ〜。彼女を見て慌てちゃったわ」

あらかじめ写真を送ったことを思い出しながら、そんなに準備してたのか

中国らしくもないな〜などと思いかけたところで

Lさんはいきなり言いました。

「さ、脱いでちょうだい」

「・・・あ、服を脱ぐんですね?」

「そうそう、さ、脱いで」

思わず、自慢のカメラを手にそばに寄り添うSさんの方を見ると

申し訳なさそうに目を逸らします。


仕方がない。

おずおずと着ていたワンピースを脱いだら、今度は

「脫去褲子! ズボンを脱いで」

はいはい・・・先生に命令された生徒のようにパンツを脱ぎ棄てたemihana 。

「長筒襪! ストッキングも!」

ははっ、御意! 伝線しそうな勢いで脱ぎましたよ。

すると続けて

「胸罩! 脱去吧! ブラジャー、外して!」

さすがに躊躇しました。だって・・・すぐ後ろには

うら若きS嬢がいるんです。今朝初めて会ったばかりの人ですよ。

しかも彼女、すご〜く華奢でスタイル抜群なんです。

そんな人の前で、いったいどうしてこの醜い体を晒せることだろう。

(いや、できない)

けれど・・・Lさんの両手にしっかりと握られたヌーブラを見て

観念せざるを得ませんでした。


もはや万事休す。事ここに至っては脱ぐしかない!

ええいっ、ままよっ!

心の迷いを吹っ切るかのように、ブラジャーを取り去ったemihana は

それでも懸命に息を吸い込むのを忘れませんでしたとさ。

(少しでもお腹を引っ込めるため)



まずは衣装決めです。

前回は確か清朝風だったと思います。

今回はいくつか試してみた後、Lさんの勧めもあって


宋時代の王朝風に決定。


これはシンプルで女らしい上品なスタイルだと言うことでしたが

さていかに・・・



それからメイクルームに移って、メークアップ開始。

若いメークさんがつきっきりで、元の顔を消し

新しい顔を描いて行く。はっきり言って原形は留めてませんよ。

あれこれ塗って消してまた塗って描いて・・・

つけ睫毛もばっちり。目じりなんか二重に付いてます。


ようやく別人の顔が出来上がると、今度は髪をい結い上げます。

もちろん自毛だけでは足りずに、馬の尻尾状の付け毛を

何本も足しました。


ボリュームを出すために、あんこのようなものを入れています。



途中で何度もLさんがやって来ては、色々アドバイスを繰り返し

アクセサリーなども決めて行きました。

彼女はプロデューサーのような立場なんですね。



と言うことで、メークが出来上がるまでに要した時間は2時間超!


この時点で、正直私はかなり疲れていました。

メーク疲れでクマができてる感じです。やれやれ。

それから衣装を着付けしてもらい中国式ぽっくりのような靴を履いて

いよいよ完成。


初めに中国式茶道の設えがされた部屋に。

お茶を煎れるシーンを撮るとのこと。


若いカメラマンさんとLさんが一緒に演出を付けて行きます。


台の前に正座し、目の前に用意された実際のお茶を

作法に則って煎れて行くその動作の一つずつを撮影するのですが

何しろ不慣れ、何度もLさんからNGが出てしまいます。

こんなことなら、ちゃんと茶道を習っておけばよかった。


特に注意されたのが「蘭花指・ランフォアシー」

指を蘭の花のような形にする所作。

言われれば言われるほど、指が強張って

岡本○郎風の手付きに似て行ってしまう我が指。


ああ・・・難しい!


ただちょこっと変身写真を撮りたかっただけなのに。

広州の時みたいないい加減なのでよかったのに。

半ば後悔し始めた私を尻めに、なぜか張り切って

さらにテンションが上がって行くLさん。



また別の部屋に移動して、今度は香を焚きながら

お茶を煎れるシーンを撮影。

昔の宮廷はよっぽど暇だったのか。

なにかと言えば、お茶煎れてばっかり・・・ぶつぶつ・・・



Lさんからの演技指導は微に入り細に入り・・・



最後にさっきの鏡貼りの部屋に入って、立ち姿や座ったところを

これでもかと、た〜くさん撮影。







中でも照れ臭かったのが、鏡の中の自分に向かって艶然と微笑めと言う指令。



何の因果でこんな羞恥プレーを・・・ぶつぶつ・・・


はい。そうです。私がお願いしたんです。

わかってます。わかってますけれども・・・


ああ! こんなはずでは・・・



最後には、待ち時間を利用してマッサージに行っていたお父さんも戻って来て

こんなショットまで撮られる始末。




なんか色々、ほんとに疲れましたです。


ぐったりとした私にLさんは

「せっかくきれいに化粧したんだから、そのまま帰ったら?」

冗談でしょ〜?

雑技団見に行くってのに、これじゃ自分が見世物じゃん!!


何とかアイメークと真っ赤な口紅だけ取り去ってもらい

あっという間に元のさえないオバさんに戻ったemihana は

ほうほうのていでマンションを後にしたのでした。


写真が出来上がるのは1か月後だそうです。

今から修正に次ぐ修正を重ねて、画像が手元にやって来ましたら

必ずや皆様にご披露しますので、今日のところはどうか

自分のスマホでS嬢が撮ってくれた姿だけで

ご勘弁くださいますように。




私は生まれたまんまで勝負