お父さんの気持ち

こんにちは。はなです。


くるりんしっぽでご挨拶です。


そんなの失礼だとemihanaがうるさいので、改めまして


へそ天でご挨拶です。



今朝も早くから、私はお父さんの車の助手席に乗せられ成田に向かっています。

成田空港から昔私が住んでいた大きな国へ、太平洋をバビュ〜ンと飛んで行くんです。

本当は、飛行機なんか乗りたくないのです。

嫌な思い出ばっかりですからね。


こんな小さな箱に入れられ、網でぐるぐる巻きにされて・・・


貨物室とか言うらしいあの場所が、どんなに不愉快で暗くて怖くて寂しいのか

人間もいっぺん乗ってみてほしいと、つくづく思いますよ。

航空会社の偉い人とか・・・


emihana とお父さんだって「はなはどうしてるかな〜」「大丈夫かな〜」

口ではそんなことを言っていたって、自分たちは美味しいものを山ほど食べて

シートを倒して眠ったり、映画を観たり・・・トイレだって行けて!
(赴任時と帰任時はビジネス・クラスとか言うのを会社が奮発してくれるらしいです)

それでも、私たちは何の文句も言えず、ただ、黙って耐えるしかないんです。

健気ですよね、本当に。


それに、もう今の私は、飛行機なんて乗らなくたって、自分でバビュ〜ンでも

フワフワでも、自由自在に飛んで行けるんです。

だから、あっちへ先に着いて、色々楽しんでいたっていいんですけど

やっぱり、それではお父さんが気の毒ですもんね。

私はちゃんとお父さんの足元に寄り添って、遠い国まで一緒に行きます。

そして、時々は外に出て、雲の上を駆け回ってみたり、翼の上に寝転んで

ジェットコースター気分を味わってみたりして、暇つぶしをします。

だって、お父さんはずっと眠っていますから。



お父さんは、もうほとんどめそめそしなくなりました。

でも、相変わらず、時々「はな〜、帰って来てぇ」と呟いてますし

毎晩、私の写真とお骨を寝室に運び、枕元に置いて寝ます。

そして朝、またそれを下に運んで、お水とお線香をあげてくれるのです。

「お線香のアレルギーがあるらしい」とか言って

わざとらしく咳をして見せるemihana とは、大違いです。

そして、最近は「犬が欲しいな」そんなことを力なく口にしては

emihana に「嫌」と、即、却下されています。


「どうせ、また私がほとんど世話をすることになるんだから」

「やっと自由に出かけられるようになったんだから」

「転勤があったら、どうするの」

「はな以外の犬を飼う気にはならない」

色々と却下の理由はあるようですが、さぁ、あのオバサンの真意はどこにあるのでしょう。

私にはわかりません。



新しいワンコが来たって、私は私だし、たぶん、お父さんも私をないがしろにして

その子にうつつを抜かしてばかりはいないと思いますし

何より、それでお父さんがうれしくなるのなら、全然、構わないんです。


だけど・・・できたら、もうちょっと後にしてほしいかな。

それが私の本音です。大きい声では言いませんけど。

こちらの世界の先輩たちにそう話したら

「そうそう、人間は私たちが旅立って行って、ああ、悲しいとか

 ああ、寂しいとか、言うけど。こっちだって、あっちの世界を思い出して

 少しは寂しくなったり、するのにね」

なんて、言っていました。


あ、だけど、基本的には、もう痛みも苦しみ何もない、元気いっぱい

自由自在の世界なんですよ、ご安心ください。


それに、そんな世界だからこそ、皆さんが迎えに来てくれるまで長い時間を

待っていられるんです。


ただ、気ままに遊んでるだけじゃないです。待ってるんですよ。


それだけは、覚えていてほしいと思います。




ご好評にお応えして、マンゴージュース盗み飲みの決定的瞬間を

飲もうとしていただけではなく

しっかり、飲みました!(ジュースの量にご注目)

断じて、やらせではありません!


やっぱり、はずかし〜