獣医さんの気持ち

先日、獣医さんに行った時のことです。


いつものように、心音を聞いていただき、爪切りとフロントラインをお願いしました。

特に大きな問題もなく、はなの診察は無事に済んだのですが・・・


私たちが待合室に入った時、ちょうど先生とある方とがお話をしていて

狭い場所なので、いやでもお二人の会話が耳に入ってきました。


詳しくは書けませんが、話の内容を要約すると

その方のワンちゃんは深夜に発作(ひきつけ)を起こすので

それを止める薬の処方を望んでいらっしゃるようでした。

でも、先生はその薬(劇薬らしい)をできれば使いたくないらしく

飼い主さんを説得していらっしゃいます。

「発作の頻度はせいぜい月に1,2度のことだから、様子を見ては?」

ところが、その方は「夜中に発作で起こされて、そのまま眠れずに仕事に行くのはつらい」

「もう限界だから、薬を使ってほしい」と、おっしゃるのです。

先生はさらに、「もっと辛い状況でも介護を頑張っているご家族もいる。」

「発作を起こすのも生きていればこそ、なんですよ」

と、いつも穏やかな先生にしては、かなり踏み込んだ表現をされて

それでも「どうにかしてほしい」と、引き下がらない飼い主さんに

「僕には死んでしまっても構わない、と言うように聞こえてしまいます」

とまで、おっしゃいました。

その方は、先生の発言ををあえて否定せず「可愛がっているんですけどね」と。


隣にいた主人は、飼い主さんを睨んでいました。

私は、ワンちゃんだって、好き好んで発作を起こしているわけじゃないので

もう少しワンちゃんの身になってあげてほしい、と

悲しくなりました。


きっと、今までワンちゃんとたくさんの幸せな時間を過ごして来られたでしょう。

色々とご事情があるのかもしれませんが、ワンちゃんが辛い時には

側に寄り添って、安心させてあげてほしいと思いました。

犬の望むことは人間の望むことより、ずっと控えめで簡単なことなんですから。


他人があれこれ口出しできる問題ではないけれど

動物の命を守ろうと日々奮闘されている先生が

どんなお気持ちだったのかを思うと、こちらまで切なくなってしまったのでした。


私たちは他に頼る人はいません。


最期まで、見守っていてくださいね。