こんにちは。はなです。
前にもこんな登場の仕方したような気もしますけど、知〜らないっと。
さて、前回はemihana のママさんのことについて書いたところ
何だか、また皆さまにたくさんご心配いただいたようですね。
本当に申し訳ありません。
私がヨロヨロ〜だった時も、中国から帰って来られるか?って時も
いつだって、皆さまにご心配ばっかりかけて来ましたが
私もあちらに引っ越して、ようやく、ご心配の種も尽きたかな
そう思っていたんですよ。
それがね〜、人生って言うのは色々あるみたいですね。
「どうも、最近、上手いこと行きすぎると思ってたのよね」
emihana はぼやくことしきりです。
ええと、前回書いた通り、ママさんの状態はとても不安定で
パパさんもとても困っていたのでした。
ただ、幻視と妄想と疑心暗鬼はありましたが、そこは元々がほぼ89歳のおばあちゃん。
足腰もだいぶ弱っていましたから、たとえばパパさんに実力行使するとか
外に飛び出して行ってしまうとか、暴れて手が付けられないとか
そんなことはなかったのです。
とにかく自分に見えることを訴え、なぜなのかと聞き
こちらの説明には納得せず、また議論を仕掛けてくる・・・
そんな様子で、でも、それは一日の間に何度かあるだけで
それ以外の時間はおかしなことを口にしつつも、一応、普通に過ごしていました。
だからemihana も、長崎行きをキャンセルしようとは言い出しませんでしたし
パパさんも、大丈夫だから楽しんで来てほしいと言ってくれました。
そんなこんなで、ママさんのことでバタバタしっぱなしだったemihana は
旅行の前日、午前中は人間ドックに入って、それが済んでからお父さんと
買い出しに行き、大量の食品を実家に運んでパパさんが家を空けなくてもいいようにして
夜になってから、慌ただしく旅行の準備に手をつけたのでした。
何とか荷物も詰め終わり、ご飯もお風呂も済んで、さぁ寝ようと言う時に
電話が鳴りました。
普段、そんな遅い時間に電話が鳴ることはありません。
「あ〜・・・ママか・・・」
emihana が絶望的な気分で受話器を取ると、案の定パパさんからで
遅くに悪いけど、ママさんがどうにも納得せず、寝ない!と言ってるので
明日からしばらく会って話せなくなるし、話してやってほしいとのことで・・・
電話を替わったママさん、どうにもこうにも不愉快らしいのです。
ママさんの主張は「おばあちゃん(パパさんのお母さん)が目の前にいるのに
自分はそうじゃない、とすごい剣幕で否定する。絶対におかしい。
それに、虫やら何やら色々見えるのに、本当はいないとか、病気のせいだとか言う。
お医者さんと一緒になって、私を騙そうとしているのではないかと疑りたくなる」
大体、こんなことでしたが、emihana はとにかく、辛抱強く冷静に
話に耳を傾けてしましたし、ママさんの言うことを否定することなく
「ママにはそう見えちゃうのよね、それはわかってるからね。そんなの不愉快よね。
だけど、私やパパには見えないの。だって、本当はいないものが見えてるんだから。
錯覚なの。それがままの病気なの・・・」
そう言って聞かせ、ママさんのめくるめく妄想に対しては
「それは、おかしいんじゃない?だって、○○は××だから、△△よね?
そうでしょ?」
それは事実ではありえないと言う反証を一つずつあげて、何とか説得を試みるのでした。
私は側で見ていましたが、いつもせっかちで早口で慌て者のemihana にしては
落ち着いて、考えながら応対しているな、ってちょびっとだけ感心していたんですよ。
だけどママさん、「そう・・・そうなの?・・・う〜ん、でも、おかしい!」
中々、聞き入れてはくれず、最終的に
「パパだけならわかるけど、あなたまで・・・?」
何やら、emihana のことまで疑いだそうとします。
これにはemihana も焦ったようです。
ママさんはとても混乱しているので、ずっと一緒にいるパパさんに対して
どうしても悪感情を抱きがちでした。言うことに聞く耳を持たないって感じで。
ここで、emihana のことまで信頼してくれなくなってしまったら
ママさんの孤独感はますます深まって、それも可哀相だし
日常生活にももっと支障が出ることになります。
ここから、emihana の必死の説得が始まりました。
「ねぇ、ママ、お願いだから、そんなこと言わないでよ。
今だって、これだけ色々な人や物を見て混乱していても
私のことだけはわかってくれてるじゃない。私は娘でしょ?
私のこと、産んでくれたでしょ?覚えてる?
ママが産んだのは私だけじゃない、たった一人の娘よ、私は」
「・・・産んであげたわよ」
「でしょ?○○病院で」
「そう、2400g」
「私を産んでくれたママを私が騙すわけないじゃない。
ママに嘘なんか吐かないわよ。そんなことするわけないじゃない。
そうよね?」
「・・・そうだけど・・・」
まぁこの後も、何度か同じ会話を繰り返したのですが、最終的にママさんも
しぶしぶ、電話を切ってくれました。
納得は・・・していなかったみたいですけど。
「じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい。こんな時間にすみませんでした」
少しだけ他人行儀にそう言って通話を終えたママさんにも
受話器を置くなり、深いため息を吐いたemihana にも
どちらにも、「お疲れちゃ〜ん!」と拍手を送りたい私でしたよ。
結局、emihana とお父さんとは予定通りに機上の人となり
無事に旅行を楽しんで、大晦日に戻って来たのでした。
emihana は毎日2回、長崎から定時連絡を入れて、様子を聞いていましたが
変えてもらった薬が功を奏したのか、ママさんの状態は少しずつ落ち着いて行き
電話で話すパパさんもほっとしたようで、大晦日に再会した時には
ママさんも食ってかかって来るようなこともなくなり、パパさんもemihana も
年末ぎりぎりになって、ようやく少し安堵して年を越すことができたのでした。
年が明けるとすぐに、emihana は役所に出かけて、介護認定の申請をし
訪問調査を受け通院に付き添い、先生に必要書類の記入を依頼し
薬が効きすぎて、午後まで起きて来なくなったママさんの薬をまた
マイナーチェンジしてもらい、毎日実家に顔を出しては、買い物用足し
掃除、食事の世話などをこなし・・・何だ、やればできるじゃん
と言いたくなるような毎日を送っています。
忙しいと言っても、仕事してるわけじゃなし、子供の世話があるわけじゃなし
他の働く主婦介護人の皆さんに比べたら、まだまだ楽ちんしている方だと思います。
でも・・・まぁ、それは言わないでおきます。介護は先の見えないものだから
細〜く長〜くでいいんだそうです。
あ、ママさんの状態は薬の効果が安定して来たらしく
幻視はあるものの、頻度も程度もずい分改善されたようですし
朝も7時くらいにはちゃんと起きられるようになりました。
でも今でも、おばあちゃんだけは時々出て来てパパさんと入れ替わるし
自分がどこかへ連れて来られてる、その感じも消えていないようです。
それに、いくつかのこだわりポイントに関しての疑念は消えることなく
「やっぱり、絶対におかしい!何かの装置が隠されている!」
だそうですが、今は、そんなおかしなこともすべて自分の認知症のせいらしいと
9割がたは理解してくれているので、「だけど、不思議よね〜」
「こうなったら、とことん、おかしなものを見てやる!」
なんて、口にしています。混乱期は一応、脱してくれているようですね。
そう言えば昨日、本人はすっかり「気の利く優しい娘」気分のemihana に
ママさんが話しかけていました。
「あなたがこんなに色々と至れり尽くせりでやってくれてるのも
どうもおかしいと思うのよねぇ」
「え?・・・私がそんなことするわけないって、そう言う意味?」
「そうよ、だって、してもらったことないもん。だから、妄想かなって・・・」
だって〜!
思わず、声を出して吹き出しそうになって、慌てましたよ。
これにはさすがのemihana も参った〜!って顔をしてました。
日頃のヘタレぶり、ママさんにもすっかりインプットされていたんですね。
伊達に「ヘタレ・マスター」と呼ばれてませんね。
ああ、またまた長話になってしまいました。
長崎のお土産話は・・・どうやら、また今度になりそうです。
ほんとに引っ張ってばっかりで、ごめんなさい!